すべてが思い出になる前に
「言いたいと思ったら言う、言わないで伝わるはずないでしょ‼︎靴を貰って嬉しいと思ったら、そうちゃんと伝えてあげてよ‼︎」
茜は自分の気持ちを正直に話した。
涼太は何かを思い立ったのか、友理奈から貰った靴と鞄を持って家を飛び出して行った。
「茜があんなことを言うとはな‼︎」
「だってお互い両思いのはずなのに…不器用っていうか、言葉足らずですれ違ってばかりなんだもん。誰かがしっかりと背中を押してあげないと‼︎」
茜は翼と照史と目を合わせて微笑み合った。
「涼太の考えてることは大体何となく分かるから…」
「いよいよ俺たちの出番かな⁈」
翼はどこかに電話をかけ始め、照史は部屋を出てアパートの階段を駆け下りて、車に乗り込みエンジンをかけ始めた。