すべてが思い出になる前に
山烏線学園都市駅から徒歩5分の所に南桐女学院高校がある。
朝の山烏線は明高と南女の学生でほぼ占めており、一斉に学園都市駅で降りる。
電車に乗ると椅子に座らず、出入り口のすぐそばに立って窓の外の景色を見るのが日課である友理奈。
向かい側に立っていた茜が友理奈に声をかける。
「変わらないね、そういうところ」
急に声を掛けられ茜の方を向き「えっ?」と声を漏らした。
友理奈は窓の外をボンヤリ見ていると、気持ちが無になるんだとか。
駅を降りるとすぐ目の前には、外壁が赤レンガである南女の校舎が見える。