すべてが思い出になる前に





翼のリターンエースなどで『40-40』に追いつかれるも、華麗なボレーやパッシングショットを繰り出し、見事涼太が勝利した。


ゲームが終わり、ネット越しで握手を交わした2人の表情は、とても晴れ晴れとしていた。



「やっぱり涼太は強いな、勝てる気がしない」


「久々にいいゲームだったよ」



2人は話しながらベンチへ歩き、カバンからタオルを取り出して右肩にかけ、ペットボトルに入ったスポーツ飲料水を飲んだ。


水分補給をしていた翼は、視線をフェンス越しにいる友理奈の方へチラッと見て、翼なりに場の空気を読み、集まったメンバーに声を掛け始める。



「今からダブルスしようぜ‼︎」



翼は後輩や同級生を引き連れてコートの方に集まり出し、涼太はフェンス越しにいる友理奈の方へ歩み寄った。






< 280 / 369 >

この作品をシェア

pagetop