すべてが思い出になる前に
「頑張りすぎて倒れなければ良いけどな…」
鴨川は涼太のキャパオーバーを恐れていた時だった。店内入り口のドアがガラガラと音を立てた。
「ごめん、お待たせ」
意外にも早く用事を済ませて来た涼太の表情は明るかった。
「すみません、もう1つビールを‼︎」
自分でビールを注文して、2人の向かい側の席に座った。
「大変そうだな」
「お互い様だろ⁈」
ビールが届き、乾杯をして一気に半分まで飲み干した。
「あのさ宮﨑、単刀直入に聞きたいことがあるんだけど…。お前最近、彼女出来たんだろ⁉︎」
「うん、言ってなかったっけ?」
「うんじゃねーよ⁉︎数少ない同期なんだから教えてよ」
「そっか、良かったね‼︎だから仕事も捗るわけか‼︎」
富永はくすくす笑い、鴨川はビールを飲み干しお代わりを注文した。