すべてが思い出になる前に






鳥のさえずりが聞こえて、友理奈は閉じていた目を少しずつ開けた。白いカーテンから眩しい光が差し込む。


隣には涼太がスヤスヤと仰向けで寝ていた。


深い眠りについている涼太の顔を覗き込むと、綺麗な顔立ちをしている。


涼太は父親似でキリッとしていて、涼太の兄はお母さん似で甘い顔をしていて優しそう。兄弟でタイプが違うなと心の中で呟く。


友理奈はクスッと笑いながら、人差し指で涼太の顔をゆっくりなぞる。


閉じられた目から伸びたまつ毛は長く、鼻筋はスッと通っている。形のいい唇、羨ましいほど綺麗な肌。同い年なのに若々しく逞しい色気にドキドキしてしまう。


親指で頬をなぞっていると、涼太の目がゆっくり開いた。



「ごめん、起こしちゃったね」



頬に触れていた友理奈の手を取った涼太は、視線を合わせ微笑んだ。






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