すべてが思い出になる前に





「おはよう」


「おはよう」



友理奈は今までしていたことを急に恥ずかしくなり、布団の中に顔を埋めると



「何で今更隠れるんだよ⁉︎」



と涼太は布団を剥ごうして攻防戦になる。


そんな中、友理奈は布団からひょっこり顔を出して、涼太をじっと見つめた。



「涼太はカッコいいから、大学でもモテるんだろうな」



友理奈が小声で呟いた言葉を聞き逃さなかった涼太は、目が点になりながら言葉の意味を考えてみる。



それって…ヤキモチ妬いてるのか?



布団で隠れているとはいい、ふくれっ面をしてどこか寂しそうな表情で拗ねている顔が可愛いらしいと思い、友理奈を抱きしめた。



「それは、お互い様だろ⁉︎」


「あっ認めたな‼︎」



抱き寄せられて、温かさに包まれる。広くて厚い胸に頬を寄せながら、友理奈は瞼を下ろした。


聞こえてくる鼓動は、少しだけ早い。






< 310 / 369 >

この作品をシェア

pagetop