すべてが思い出になる前に
数週間後
研究室にこもって細胞をプレパラートに載せて顕微鏡で確認する。それを元にした研究成果を書き込んだノートを何度も見比べ、側にいる他のメンバーを呼んだ。
「ちょっといいですか?」
涼太は席を離れ、何人ものメンバーが席を入れ替わりで顕微鏡を覗いては笑みを浮かべた。
「やったな、宮﨑‼︎とりあえず現状を教授に報告だ‼︎」
今回、アメリカの大学とNR大学との共同研究によるもので、がん治療・難病治療に応用出来る多様性細胞の性質をより詳しく分析した結果がようやく出た。
半年後には涼太が在籍する研究チームがマウスを用いた実験に成功し、これまで使用されていた薬が違う病気にも効果を発揮することを証明できたと説明した。
研究成果のまとめと今後の展開を論文として記載、学会で発表後に正式に受理された。