すべてが思い出になる前に
恐る恐る教授の前に立つ涼太だったが、教授が口にした言葉は意外なものだった。
「宮﨑くんは今後の進路を決めているのか?」
「いえ、まだハッキリとは決めていません。製薬会社の研究職も考えたのですが、まだチームで行なっているガンの研究が途中なので、このまま大学に残って研究をやり遂げたいとも思っています」
「そうかそうか、一応君の希望を聞いておきたかったんだ。そこで1つ朗報なんだが、私の知り合いの製薬会社で研究職の欠員が出たから、一度受けてみないか?」
教授が自ら推薦して下さった事もあり、断わることは出来なかった。だが、優秀な人材だと認めてもらえたような気がしてならなかった。