すべてが思い出になる前に
「あの時いつもの友理奈なら『私の幼馴染なんだよ‼︎』って言うんじゃないかなと思ってた」
不思議そうに茜は首を傾げて言った。
「勿論、自慢の幼馴染だよ‼︎でもね、あの場で言ってしまったら話しが大きく広まって、2人の大きな夢を邪魔してしまうと思ったの」
「そんな事考えてたんだ!涼太と翼に気を遣ったんだね、友理奈は」
友理奈が今、そういう立場にいるからこそ強く思うのかもしれない。
いつもニコニコと笑っているはずの友理奈から笑みが消えていた。
テニスボールが網フェンス側に転がってしまい、ボールを拾いに来た涼太は、友理奈と茜が話している姿を見かけて側に寄った。