すべてが思い出になる前に
友理奈にとって自分が一番の存在になりたいと、少しずつではあるが、涼太は涼太なりに友理奈との将来を考え始めていた。
とはいえ、まだ大学院生で勉強している身分である為、ちゃんと社会人として給料を貰っているわけではない。
直接本人に聞いたことはないが、何年も前から働いている友理奈の方が給料の手取りもいいだろうし、多少の貯金はしてるかもしれない。
今働かせてもらっているバイトの給料なんて、生活費の足しにしかならない。もう完全にこの時点で友理奈に負けている状態である。
これがまた余計な事かもしれないが、研究以外の事を考えてたなんて知られたら、友理奈はきっと怒るだろうな…。
携帯の電源を消して、ベッドの上に置いて部屋を後にした。