すべてが思い出になる前に





「ただいま」



友理奈の目の前に立っていたのは、白い歯を見せて微笑むアメリカ帰りの涼太だった。



笑顔で涼太の元へ歩み寄ろうとしたが、いやいや待てよと…1度思考停止をし、足を止めた。


ここは職場でもあり仕事の真っ最中。隣には元倉がいて、他に誰が見ているか分からない。


友理奈は仕事モードで、涼太に対して気丈に振る舞う事にした。



「長時間のフライトお疲れ様でした。空の旅はいかがでしたか?」


「12時間も座ってたから首が痛くて…」


「そうですか。お疲れでしょう…気を付けてお帰り下さい」


「あぁそうだな。ごめん仕事中に声掛けて、また連絡する」



深々とお辞儀をして、隣にいた元倉もつられる様にお辞儀をした。








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