すべてが思い出になる前に
「涼太は来年どうすんの?大学残るのか?」
「いいや、残らない。薬品メーカーの研究職に決まったよ」
「凄いじゃん‼︎」
「面接の志望者全員が教授の推薦を受けてて相当焦ったけど、留学経験があったから採用内定されたのかも知れない」
「いつの間にそんな優秀な研究者になったんだ⁉︎ビックリだよ俺は」
涼太の就活は非常に困難で狭き門だった話を聞いて、周りのみんなは関心して頷いているのに対して、翼は思いっきり焼き鳥を頬張っていた。
「お前は人の話を聞いてないだろ⁉︎」
「ちゃんと聞いてるって‼︎そんな人聞きの悪いこと言うなよ‼︎」
ジョッキに入っていたビールを飲み干し、「生、おかわり!」と注文し始めた為、涼太の就活の話はそれで終わった。