すべてが思い出になる前に





なんとなく周りを見渡して、ふと心の中で思った。


幼馴染、幼馴染とよく言っているが、年齢はもう27歳になった。



翼は実家のスポーツショップで働き、自分の経験を生かして、テニス関連商品の売り上げに貢献している。


茜は地元のテレビ局のエース格のアナウンサーとして、看板を背負っている。


友理奈はグランドスタッフとして、必死に働いている。


涼太は来年の春から大手薬品メーカーの研究職に内定。


そして、照史は企業団のバレーボール選手として活躍しているのだが…



友理奈は、今日はやけに口数が少なく、ビールを飲みながら浮かない顔をしている照史に気付き、優しく背中をさすった。



「どうしたの?何かあった?」


「何?照史にも悩みがあるの⁉︎私たちで解決できる事なら話してよ‼︎」



友理奈や茜に声をかけられた照史は、重い口を開けた。









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