すべてが思い出になる前に
そんな人間関係にも悩まされつつも、自分のすべき事だけに集中したいと思うようになった。
最大の目標は『 病気に苦しむ患者のために新薬を開発して、世の中を変えること』
同じ実験を何度も何度も繰り返し行う毎日を送っていた。
残業でクタクタになって夜遅く帰った日には、1人で晩酌して寝ようかなと思いながら、家の鍵を開けようとした途端、扉が開いている事に気が付いた。
ドアノブに手を掛けてガチャっと扉を開けると、部屋の電気が付いていて眩しく見えた。
「涼太おかえり!遅かったね」
台所からヒョコッと顔を出した友理奈は、玄関まで駆け足でやって来て、笑顔で『おかえり』と出迎えてくれた。