すべてが思い出になる前に





「頭に花びら付いてる」


「えっ?」


「じっとしてて…」



涼太はそっと花びらを取り、真っ直ぐな目で友理奈を見つめた。



「ありがとう」



友理奈の笑顔に涼太も緊張が解けるかのように、白い歯を見せて微笑んだ。



司会の人が進行を続ける。



「では、ブーケトスへ参りたいと思います」



ブーケトスといえば記憶に新しく、以前照史の結婚式の際に、ブーケを取ったのが涼太だった。


もしかしたら…ブーケトスのジンクスは当たったのではないかと、茜はしめしめと思いながら陣取りを始めた。


茜の姿を見て呆れる翼は、肩を叩いた。



「おい茜、くじ引きとか宝くじもそうだけど…欲が強い人には当たらないもんなんだよ‼︎ブーケも同様で…」


「それはそうだけど…でも、友理奈からのブーケは絶対取りたいもん‼︎」



茜はムスッとした顔で翼を見た。






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