すべてが思い出になる前に
見送った後、涼太は手を下ろしてふと隣にいる友理奈を見ると、頬を伝って静かに涙を流している事に気づいた。
涼太はそっと友理奈の肩を組んだ。
「寂しいな、いつでも会えてた人達と会いたい時に会えなくなる。でも友理奈の隣には俺がいる、心配すんな‼︎」
涼太は友理奈を励ましていると、振り向いて正面から抱きついてきた友理奈を優しく包むように抱きしめた。
「もう寂しいなんて思うのは最後にする。めそめそと泣くのも最後にする。だって涼太の妻としてしっかりしないといけない」
顔を上げた友理奈は少し目を赤くしながらニコッと笑う。
涼太は友理奈の涙を親指で払い、こう囁いた。
「さっ俺達も帰ろうか‼︎」
涼太はさっと友理奈の手を繋いで歩き始めた。