すべてが思い出になる前に
タイムアウトになり涼太は駆け足でベンチに戻り、渡されたタオルで汗を拭きながら、水分補給をしていた。
ラケットを握りしめ、テニスボールをズボンのポケットに入れてコートへ戻って来た。
友理奈はいきなり椅子から立ち上がり、何をしだすか分からない友理奈を見て、慌てだした照史と茜が「何してんの?」と止めに入る。
「涼太‼︎諦めるな‼︎」
大声で叫んだ友理奈の声はコート上にいる涼太にも聞こえた。
思わず振り返った涼太は、声が聞こえた観客席の方を見上げた。