すべてが思い出になる前に
3) 夢と現実の間




蝉の声がパタリと聞こえなくなり、少し肌寒くなった10月頃。


部活が終わって涼太と翼は、部員の仲間達と真っ直ぐに家に帰らず校門前で立ち話をしていた。



「そろそろ、大学のオープンキャンパスとか行かないとなぁ」


「どこ観に行く?」


「A大学とかB大学とか?」


「まぁ受かればいいんだけどな」


「この間の模試だと、どの大学もC判定とかD判定とかで、そろそろマジで勉強しないとやばいな〜」



高校2年の秋、あと1年半後には大学生になっているはずだ。


しかし全く実感が湧かずにいたが、さすがに部員の話を聞いて焦りを覚え始めた。






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