すべてが思い出になる前に
学園都市駅の改札口付近で前を歩いていた南女の生徒が、ICカードを探しているのかゴソゴソと革のカバンを探っていた。
パラっと一枚のプリントらしきものが、涼太の足元まで飛んで行ってしまった。
プリントを拾ったり涼太はふとプリントを裏返すと、赤いペンで大きく95点と書かれた英語の答案用紙だった。
「テスト落ちたよ」
「すみません‼︎」
顔を上げた南女の生徒と涼太は目を合わせ、思わず驚きを隠せなかった。
「よぅ‼︎」
「涼太、翼も‼︎」
答案用紙の持ち主は友理奈だった。
夏服の白いセーラー服の上に紺色のカーデガンを羽織っていた為、気付かなかった。
駅前でバッタリ会った時間は夜の20時、こんな時間まで何をしていたんだろう…