すべてが思い出になる前に
「確かその辺りはセンター試験本番レベルの模試とか、予備校のマーク模試が立て続けにあるからちょっと厳しいな…」
友理奈とホームでこの話をしていた時の切ない表情をふと思い出してしまった。
高校3年の受験生で自分の先の見えない将来に向かって誰もが悩む大事な時期になる。
「友理奈とか茜は多分試験は必ず受けるだろうな」
「そうだよな…」
返事をした涼太は、それ以来試合の話を誰にも全くすることがなくなった。まずは試合で結果を残してからの事後報告でいいかと考えた。