すべてが思い出になる前に





関東大会当日、テニスバッグを担いで会場入りした涼太と翼は、応援席の方へ振り返る事は一度もなかった。


なんせ、去年の様に自分を応援してくれる友人や両親にも伝えていなかった。だが照史が伝えたのか、友理奈と茜からはそれぞれメールが届いていた。



『試験があって行けないけど、涼太と翼ならきっと大丈夫』



メールを確認していると、翼が先にコートの方へ歩いて行き涼太に話しかけた。



「俺たちが目指すのはただ1つ、優勝だけだ」


「そうだな。よし行くぞ」



涼太はテニスボールをポケットに入れて、ベンチから立ち上がりコートの入って行った。






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