すべてが思い出になる前に
暑い夏が過ぎようとしていた9月。期末試験が迫っていた。
進路希望調査の紙を配られ、頭を抱える涼太に翼は声を掛ける。
「何悩んでるんだよ、推薦が来たんだろ?いいじゃん受ければ‼︎」
「そうだけどさ…」
テニスの成績が優秀で推薦の条件を満たしていたのもあり、大学側からいくつか推薦が来た。
でも試合をしていた時に薄々と怪我の再発を感じ始めていた。
このままテニスを続けてプロを目指すか、またしてや自分の本当にしたい事は何なのか悩み始めていた。
もし怪我をしてプロを断念する時が来たら、その後の自分に何が残るのか、テニス以外に出来ることがあるのだろうかと1人悩んでいた。