すべてが思い出になる前に
教室の窓を見ると、外は曇り空で大雨がザァザァと降っていた。
手にしていた進路希望調査票を2つに折りたたみ、鞄にしまった。
放課後になり、靴を履き替えて傘を開き学校を後にした。
涼太はテニス部を引退してから、勉強に一層励むようになり公立図書館に通うようになっていた。
公立図書館には勉強室があり、近辺の高校生が沢山勉強しにやって来る。土日は整理券が配られるほど競争率が高い。
勉強室に入ると、既に何名かの進学校出身の制服を着た学生が黙々と勉強していた。
机に荷物を置き、教科書や参考書を鞄からどさっと広げシャーペンを握った。