すべてが思い出になる前に
時計をチラッと見て19:45になっていた。閉館時間間際になり、閉館の放送が流れ出した。
机に広げていた教科書類を鞄にしまい、席を立ち勉強室を後にしようと歩いていると、見覚えのある後ろ姿を見て思わず足を止めた。
南女のセーラー服、ショートボブで只ならぬオーラを感じるのは友理奈だった。
声を掛ける前に、机の様子を伺うと赤本が何冊か置いてあり、どれも有名な首都圏の私立大学だった。
友理奈は机の上で模試の成績表をじっと眺めていた。
上から覗いていた涼太は、友理奈が手にしていた成績表をすかさずバッと取り上げた。
希望する大学側を六校選らんでおり、どれも涼太は見たことのないようなグラフや数字だった。