すべてが思い出になる前に
「B判定ばっかり、俺とは大違いだな」
後ろに振り返った友理奈は席を立ち上がり、涼太が奪った成績表を背伸びをして必死に取り戻そうとしていた。
「見ないでよ、涼太だけずるい〜」
「ちょっと待て、俺のもあるから‼︎」
鞄から模試の成績表を取り出して友理奈に手渡した。
友理奈は涼太の成績表を見て、じっと見つめ始めた。
「以外と成績悪くないのね」
「翼と比べたらそりゃ劣るけど、勉強はなんだかんだいって嫌いじゃない」
「しかも、理数が案外成績いいね」
「理数は公式さえ覚えれば解けるけど、暗記物が苦手なんだよな。全く脳に蓄積しない」
確かにねと友理奈はクスッと笑った。