すべてが思い出になる前に
封筒を開けると、『合格』の2文字が書かれたプリントを目にした。無事に大学進学が決まり、安心していたのもつかの間だった。
玄関で靴を脱いで自分の部屋に入ろうとした時に、ズボンのポケットの中でマナーモードがブルブルと震えだした。
メールの相手は照史からだった。
『卒業式の後、みんなで会おうよ。少しでいいからさ‼︎』
照史の声掛けで、久々に5人が揃うことになった。
翌日、明学の下駄箱前で翼とばったり遭遇した。
「照史からメール来た?みんなどこの大学に決まったんだろ。茜はまぁ置いといて」
「何で置いとくんだよ」
「だって何か想像つくからさ」
翼の言う通り、茜は有名大学で普通に勉強して、大企業のOLになりそうな予感がする。
照史はバレーの推薦で大学に進学して、実業団チームに入団しそうだな。
友理奈はどうするのだろうか…