すべてが思い出になる前に




「涼太がそう決めたのなら、私達は全力で応援する」



友理奈はそう言って、ニッと満面な笑みで笑った。


久々に友理奈の笑顔を見て、つられて周りも笑顔になった。




eagleを後にして実家に帰宅途中、桜の並木道を歩きながら、茜はしみじみと語り出した。



「これからはみんな大学生になるんだね」


「今以上に会えなくなるかも」


「全く実感わかねー」



いきなり強く暖かい風が吹き、前方から桜吹雪が舞ったその瞬間、セーラー服を着た友理奈が振り返った。


この一瞬の出来事が、まさに奇跡の一枚の絵になるような素敵な風景だった。





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