オオカミくんと透明少女

【まだあるから！】

まったく雰囲気とは何て怖いものなんだろう。
あの梶原という奴のまさに謎の告白。
あれを言われた時の事はっきり言おう。
ちょっとした出来心だったんですよ。
でもね、思ったんだよ。
ちょっと良いかもしれないって。
こいつは運命かもって。
と、まぁそう思いまして、ついつい
首を縦に振ってしまったんですよ。
今思えば何という事だろうって感じだ。
まぁその時に一様、何で私なのか、少女漫画の定番を聞いてきましたよ、しっかりと。

……それは約300年前に遡る。
日本には誰も知られない無人島が何百とある。
そこには人間の知らない生き物がいる。
動物の新種何てなんのその、
私たち、透明人間、そして梶原こと、沙弘斗達のオオカミ人間族もいる。
昔、ある無人島に透明人間族とオオカミ人間族が一緒にいた。
この二つは仲が良く喧嘩だって一回もしたことなんてない良い島となったのだ。名付けられた島の名前はとうがみ島。
だが、いつからかこの島の事を日本人に知られた。
そこでこの二族を捕まえようとする人間が島に乗り込んだ。
そこで、私の先祖でもある透明人間は南へ、
オオカミ人間は北へと逃げた。
それからは隠れて暮らしていたが、お互いどこかで人間の血が混じったらしく半、透明人間に、半、オオカミ人間になったという。

「で、そこまでわかったから何で私？」

「もーまだあるから！」

もうそろそろ聞き飽きるぞ。

…透明人間とオオカミ人間は別れる時にある約束をした。それは……
『いつかまた一緒に暮らそう』
と、そう約束した。