その男×未亡人?
「なあなあ聞いた?6組の!」
「あ?」
入学式から早1ヶ月
クラスの交流会もあって
なんとなくリズムを掴み始めているこの頃
女からも結構な量で告白もされてるこの頃←
「6組の噂の美少女だよ!」
「………」
「だよなぁ、お前が自ら見に行く女の子なんていないよなぁ」
……その噂自体知らねーし
「んで、誰だよ」
「おっ、ついに女の子に興味をもったか?!」
「…気になんだろ、そー言われると」
別に、興味とかじゃ、ねーし!
「佐倉穂香ちゃん!超絶美人らしーんだけど、実はさぁ俺も見たことねーの」
…へぇ、珍しい
直人は無類の女好きだ←失礼な!
女は入学式の日に全部リサーチ済してても
おかしくないし
もうあれから1ヶ月経ってんだから
アイツが知らない女なんていないはずだろ
「ほら、よく周り見てみろよ」
まわり?
言われるがまま周りに目線を泳がせると
「佐倉さん、今日も超絶可愛かった!」
「えっ、お前会ったのかよ!ずりー」
「次移動教室だって6組の奴が言ってた!」
「うわ、化学だったらここ通るんじゃね?」
「ここっ俺が取った!」
「うわっ、じゃー俺はここ陣取る」
「じゃ、俺はここなっ」
我先にと廊下側の窓のところに
整列し出す男ども
………はっきり言ってキモイ
「佐倉…穂香…」
どこかで聞いたことあるような
……ないよーな
でも結局、6時間目の前に
その佐倉穂香が廊下を通ることはなかった