リナリア
* * *
墓参りを終え、少し早めのランチを食べているときにまたしてもスマートフォンが震えた。今度は着信だった。
「名桜。」
「仕事、お疲れ様です。突然連絡が来たからびっくりしましたよ。」
「まだそこにいるの?」
「いますよ。これから思い出巡りをしますけど。」
「1時間後くらいにそっちに着くんだけど、1時間後の名桜がいる駅教えて?」
「…あの、本当に来るんですか?」
「だってこの後はオフだし。」
「いや、あの…そういうことじゃなくて、オフの日にわざわざこんな田舎に来なくてもということが言いたいんですよ。」
「名桜は一人で平気なの?」
「え?」
「麻倉さんから聞いた。今日は墓参りだって。麻倉さんを仕事で取っちゃってごめん。麻倉さんの代わりには全然ならないけど、名桜を一人にしないことはこれからの俺にできるかなって。」
「…そういうことですか。父がお喋りですみません。気を遣わせてしまって…。私は一人で大丈夫ですし、知春さんはちゃんとしっかり休んでください。スケジュールがびっちりだと、この前マネージャーさんから伺いました。無理は禁物です。」
父から聞かなければ、知春が気を遣わずに済んだ。知春に余計なことをさせてはいけない。ただでさえ目立つし、忙しい人だ。
「無理はしてない。体調管理はちゃんとしてるし、オーバーワークにならないようにもしてる。よってそっち行くから。リフレッシュってことで。もうすぐ駅着く。じゃあとりあえず駅の名前送っておいてね。切るよー。」
一方的に言いたいことだけ言って切られた電話。そういえば、一度言ったことは割と曲げない人だったことを思い出す。名桜はため息をついてから、スマートフォンをタップした。
墓参りを終え、少し早めのランチを食べているときにまたしてもスマートフォンが震えた。今度は着信だった。
「名桜。」
「仕事、お疲れ様です。突然連絡が来たからびっくりしましたよ。」
「まだそこにいるの?」
「いますよ。これから思い出巡りをしますけど。」
「1時間後くらいにそっちに着くんだけど、1時間後の名桜がいる駅教えて?」
「…あの、本当に来るんですか?」
「だってこの後はオフだし。」
「いや、あの…そういうことじゃなくて、オフの日にわざわざこんな田舎に来なくてもということが言いたいんですよ。」
「名桜は一人で平気なの?」
「え?」
「麻倉さんから聞いた。今日は墓参りだって。麻倉さんを仕事で取っちゃってごめん。麻倉さんの代わりには全然ならないけど、名桜を一人にしないことはこれからの俺にできるかなって。」
「…そういうことですか。父がお喋りですみません。気を遣わせてしまって…。私は一人で大丈夫ですし、知春さんはちゃんとしっかり休んでください。スケジュールがびっちりだと、この前マネージャーさんから伺いました。無理は禁物です。」
父から聞かなければ、知春が気を遣わずに済んだ。知春に余計なことをさせてはいけない。ただでさえ目立つし、忙しい人だ。
「無理はしてない。体調管理はちゃんとしてるし、オーバーワークにならないようにもしてる。よってそっち行くから。リフレッシュってことで。もうすぐ駅着く。じゃあとりあえず駅の名前送っておいてね。切るよー。」
一方的に言いたいことだけ言って切られた電話。そういえば、一度言ったことは割と曲げない人だったことを思い出す。名桜はため息をついてから、スマートフォンをタップした。