リナリア
「…今の話と合わせて考えても、知春さんは本当に実感のある想いというのを大切にされているんだなと感じました。だからこそ、経験のないものについて難しいと考えるのも無理のないことだと思います。」
「うん。」
「…ですが、それでも、私は…。」
「うん。」
ここから先に話すことは、無責任なことだ。
「知春さんが、ヒロインの横で嬉しそうに笑ったり、ヒロインに優しくする姿も見たいと思ってしまいました。…無責任ですみません。」
「いやいや、全然。悩んではいるけど、頑張ろうとも思ってるから。手探りだけど。」
「手伝えることがあったら言って下さいね。無責任なことを言ったつもりはありますし、私にできることはおそらくほぼないかと思いますがそれでも…あるのなら頑張ります。」
「…名桜が手伝えること、あるよ。」
「え?」
ふと、空いていた方の手が握られた。
「えっ!?あの、知春さん!?」
「たとえば手を繋いで歩く。そんなレベルで、俺はしたことがない。」
「ひ、人に見られたら誤解されます!」
「周りに誰もいないじゃん。さすがに俺だって周り見て行動に移してるよ。名桜に迷惑かけたくないし。」
知春は握った手を離す気がないようだ。それは伝わる力加減からもよくわかる。
「これ…。」
「うん。」
「たとえば、これは両想いの二人ならば、私は握り返すんですよね。」
「多分ね。」
恥ずかしさは消えないが、役に立ちたいと思ったのも事実だった。名桜は覚悟を決めて、そっと握り返した。
「…こんな、感じで合っていますか…?」
「多分。…手を繋ぐだけなんて大したことないかなって思ってたけど、全然大したことあるね。」
「え?」
「握るだけなら一方的で、自分で仕掛けたことだからいいけど、握り返されると緊張する。」
そう言って知春はこめかみを少しだけ掻いた。
「うん。」
「…ですが、それでも、私は…。」
「うん。」
ここから先に話すことは、無責任なことだ。
「知春さんが、ヒロインの横で嬉しそうに笑ったり、ヒロインに優しくする姿も見たいと思ってしまいました。…無責任ですみません。」
「いやいや、全然。悩んではいるけど、頑張ろうとも思ってるから。手探りだけど。」
「手伝えることがあったら言って下さいね。無責任なことを言ったつもりはありますし、私にできることはおそらくほぼないかと思いますがそれでも…あるのなら頑張ります。」
「…名桜が手伝えること、あるよ。」
「え?」
ふと、空いていた方の手が握られた。
「えっ!?あの、知春さん!?」
「たとえば手を繋いで歩く。そんなレベルで、俺はしたことがない。」
「ひ、人に見られたら誤解されます!」
「周りに誰もいないじゃん。さすがに俺だって周り見て行動に移してるよ。名桜に迷惑かけたくないし。」
知春は握った手を離す気がないようだ。それは伝わる力加減からもよくわかる。
「これ…。」
「うん。」
「たとえば、これは両想いの二人ならば、私は握り返すんですよね。」
「多分ね。」
恥ずかしさは消えないが、役に立ちたいと思ったのも事実だった。名桜は覚悟を決めて、そっと握り返した。
「…こんな、感じで合っていますか…?」
「多分。…手を繋ぐだけなんて大したことないかなって思ってたけど、全然大したことあるね。」
「え?」
「握るだけなら一方的で、自分で仕掛けたことだからいいけど、握り返されると緊張する。」
そう言って知春はこめかみを少しだけ掻いた。