リナリア
「知春?どした?」
「…なんか、今日ずっとぼーっとしてない?」
「ちょっと難しい役が来ちゃったんだよね。目下模索中。」
「へぇ~、シンデレラとか?」
「は?」
黒板を見るとシンデレラ役のところに自分の名前があって驚く。票数は1票だが。
「…たくでしょ。」
「あったりー!知春には絶対女装が似合う!」
「…あのさ、『シンデレラ』の主役はシンデレラだって知ってた?」
「知ってるけど、高校の文化祭って最後じゃん。楽しんでおきたいなと思って。」
「まぁ、それはそう思うけど。でも残念だね、たく。俺は違う役にキャスティングされそうだよ。」
「知春は…魔法使い。」
「たく、自分の心配した方がいいよ。」
「あ?」
「たく、王子。」
「はぁ!?」
決定の一票が入った。
「じゃあ配役を発表します。シンデレラ、一条さん。王子、小島くん。魔法使い、伊月くん。」
「いやいや待てって、俺が王子?知春じゃなくて?」
「伊月くんよりも小島くんの方が票数が多いので。」
空気がよめる、いいクラスのメンバーだと知春は思う。自分自身としては別に王子でも構わないが、他の生徒よりも知名度をもってしまった自分が王子をやるのはまずいことは、何となく察してくれているのだろう。それに、拓実は気付いていないが、拓実に本気で恋をする子は少なくない。拓実の王子姿を見たいと思う子は少なからずいる。
「俺、お姫様とか言うわけ?」
「脚本がどうなってるか知らないけど、まぁあるんじゃない?」
「それ、ちょっと面白いっていうかレアじゃない?」
「ね。」
椋花がちょっと口角を上げて笑う。それに合わせて知春も笑った。拓実だけが少ししかめっ面だ。
「…お前ら…自分たちに被害がないと思って~!」
「…なんか、今日ずっとぼーっとしてない?」
「ちょっと難しい役が来ちゃったんだよね。目下模索中。」
「へぇ~、シンデレラとか?」
「は?」
黒板を見るとシンデレラ役のところに自分の名前があって驚く。票数は1票だが。
「…たくでしょ。」
「あったりー!知春には絶対女装が似合う!」
「…あのさ、『シンデレラ』の主役はシンデレラだって知ってた?」
「知ってるけど、高校の文化祭って最後じゃん。楽しんでおきたいなと思って。」
「まぁ、それはそう思うけど。でも残念だね、たく。俺は違う役にキャスティングされそうだよ。」
「知春は…魔法使い。」
「たく、自分の心配した方がいいよ。」
「あ?」
「たく、王子。」
「はぁ!?」
決定の一票が入った。
「じゃあ配役を発表します。シンデレラ、一条さん。王子、小島くん。魔法使い、伊月くん。」
「いやいや待てって、俺が王子?知春じゃなくて?」
「伊月くんよりも小島くんの方が票数が多いので。」
空気がよめる、いいクラスのメンバーだと知春は思う。自分自身としては別に王子でも構わないが、他の生徒よりも知名度をもってしまった自分が王子をやるのはまずいことは、何となく察してくれているのだろう。それに、拓実は気付いていないが、拓実に本気で恋をする子は少なくない。拓実の王子姿を見たいと思う子は少なからずいる。
「俺、お姫様とか言うわけ?」
「脚本がどうなってるか知らないけど、まぁあるんじゃない?」
「それ、ちょっと面白いっていうかレアじゃない?」
「ね。」
椋花がちょっと口角を上げて笑う。それに合わせて知春も笑った。拓実だけが少ししかめっ面だ。
「…お前ら…自分たちに被害がないと思って~!」