リナリア
「魔法使いが男だったら、シンデレラを引き止めたかもしれないよね。」
「え?」
「僕のもとにおいで、僕がずっと傍にいて優しくしてあげるからとかなんとか言って。」
「…待ってください。それ、絶対クラスの皆さんの前で言っちゃだめですよ?」
「え?」
「そうなりますと、知春さんと小島さんでシンデレラを取り合う泥沼展開になります。確かに面白いですが、それだと知春さんの演技が勝ってしまうでしょう?」
「うーん…どうだろう。こんなザ文化祭みたいな演技するの初めてだからなぁ。意外と大根役者かもしれないよ。」
「そんなわけないでしょう!あのですね、知春さん。」
「何?」
ようやく目が合った。
「魔法使いが男だったらとか、一つの役のことをずっと考えているとか、そういうことは大根役者はしないんですよ。心の機微を知って表現したいから考えているんでしょうし…。」
「…はは。ありがとう。じゃあ魔法使いが男だったら説は内緒にしておいてね。」
「言わないですよ。言ったら大変なことになります。」
「真面目だねぇ、名桜は。さっきも、あんなに真っ直ぐ返すとは思わなかった。」
「…もうちょっと言い方はあったと思うんですけど、囲まれるのに慣れていなくて咄嗟に…。」
「でも、嬉しかったよ。本当は俺が名桜を守ってあげなきゃいけない立場だったけど、守られちゃったなぁ。」
「…言わないですよ。知春さんのことで、皆さんにお伝えできることの方が…もう少ない気がします。」
出会ってから、まだ半年も経たないというのに思い出がありすぎる。交わした言葉は七海にも蒼にも及ばないのに、なぜか妙に心に残って思い出してしまう。
「割とお互いの…弱点、とまではいかないけど、あんまりオープンにできないところ、知られちゃってるしね。」
「そうですね。助けられてばかりです。」
「そんなことはないよ。それに今から手伝ってもらうから。」
「え?」
「僕のもとにおいで、僕がずっと傍にいて優しくしてあげるからとかなんとか言って。」
「…待ってください。それ、絶対クラスの皆さんの前で言っちゃだめですよ?」
「え?」
「そうなりますと、知春さんと小島さんでシンデレラを取り合う泥沼展開になります。確かに面白いですが、それだと知春さんの演技が勝ってしまうでしょう?」
「うーん…どうだろう。こんなザ文化祭みたいな演技するの初めてだからなぁ。意外と大根役者かもしれないよ。」
「そんなわけないでしょう!あのですね、知春さん。」
「何?」
ようやく目が合った。
「魔法使いが男だったらとか、一つの役のことをずっと考えているとか、そういうことは大根役者はしないんですよ。心の機微を知って表現したいから考えているんでしょうし…。」
「…はは。ありがとう。じゃあ魔法使いが男だったら説は内緒にしておいてね。」
「言わないですよ。言ったら大変なことになります。」
「真面目だねぇ、名桜は。さっきも、あんなに真っ直ぐ返すとは思わなかった。」
「…もうちょっと言い方はあったと思うんですけど、囲まれるのに慣れていなくて咄嗟に…。」
「でも、嬉しかったよ。本当は俺が名桜を守ってあげなきゃいけない立場だったけど、守られちゃったなぁ。」
「…言わないですよ。知春さんのことで、皆さんにお伝えできることの方が…もう少ない気がします。」
出会ってから、まだ半年も経たないというのに思い出がありすぎる。交わした言葉は七海にも蒼にも及ばないのに、なぜか妙に心に残って思い出してしまう。
「割とお互いの…弱点、とまではいかないけど、あんまりオープンにできないところ、知られちゃってるしね。」
「そうですね。助けられてばかりです。」
「そんなことはないよ。それに今から手伝ってもらうから。」