リナリア
* * *

「今からここの公園に向かいます。途中でクレープ屋さんとタピオカのお店があります。買い食いオッケーです。」
「え…食べていいんですか?」
「えっと、お金は八木さんにもらってきました。あと、ここからは私と安田さんと皆さんだけです。好きなものを食べて、飲んで歩いてください。私は少し先にいたり勝手に動き回るので。気になるかもしれないけど、皆さんは好きなように歩いてもらって構わないので。そのままでいてください。無理に笑わなくていいです。」

 名桜がそう言うと、5人はにっこりと微笑んだ。

(そう!そういう顔がいい。)

 5人は思い思いにお喋りをしながら歩いていく。様々に位置を変えて、名桜はシャッターを切る。歩くとスカートに動きが出るからいい。ふわっとしたシルエットも女の子らしくていい。
 クレープを頬張る姿も可愛い。口元についたクリームを指摘し合う姿だって、絶対に可愛い。
 スタジオで固まっていた姿はもうない。美味しい物を食べている女子が無敵に見えてくる。

 公園に着くと、ベンチを使って撮影したり、花畑と合わせたりして撮影をした。

「名桜さんっていくつですか?」
「えっと先月で17になりました。」
「高校2年?同じだー!」
「あたしも同じ!え、敬語じゃなくてもいいですか?」
「あ、はい、もちろん。お話ししやすい形でどうぞ。私は敬語、崩さないですけどそれでよければ。」
「名桜ちゃん、年下かぁ。しっかりしてるなぁ。」

 お喋りをしだすとより表情が変わっていく。ついつい表情ばかり気にしてしまうけれど、服にも意識を配るように気をつけて、シャッターを切り続けた。
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