リナリア
撮影が終わって帰ると16時になっていた。
「お疲れ様でした。いい写真がたくさん撮れましたよ。編集に送っておきますね。」
「おかえり、名桜ちゃん。どうだった?硬い表所はとれた?」
「八木さん!見ますか?」
「うん。」
カメラで再生する。すると八木は微笑んだ。
「スタジオ撮影とは別物だね。どんな魔法を使ったんだい?」
「魔法なんてそんなものは使ってないですよ。そもそもみんな可愛いんです。だからそれだけで大丈夫なんですよ。」
「…なるほどね。今日は名桜ちゃんにお願いして大正解だったな。」
「ありがとうございます。でも、ゴールデンウィークの仕事はもう追加できないので…。」
「そんなにあるの?」
「休みの方がないです。」
「麻倉さんも働かせるねぇ~。」
「本当に。」
5人と八木を見送り、ようやく名桜は椅子に座った。思えば立ちっぱなしだった。じんじんと足が痛むのを感じる。カメラを手放して初めて、普通の痛覚が戻ってきた。
「お疲れ様。はい、さっきのお店のタピオカ。」
「え、あ、ありがとうございます!」
冷えたいちごミルクが喉の渇きを潤していく。タピオカレベルでは空腹は満たないが、どこかに何かを買いに行く元気はない。疲弊しきった身体に、いちごミルクと安田の優しさはとてもしみる。
「美味しいです…。」
「よかった。伊月くんの撮影まで、ゆっくり休んで。」
「はい。ありがとうございます。」
少しだけ、頬が熱い。いちごミルクが嬉しかったからだろう。そんなことを考えていると、スマートフォンが震えた。
『今日、マネージャー行かない。一人で行くんだけど、なんか必要なものある?』
(ヘロヘロの私に、なぜ訊くの…?)
『ないです。しいて言えば、私は腹ペコです。』
『なにそれ。何か買って来いってこと?いいよ。何食べたいの?』
『炭水化物』
『わかった。5時前には着くから。』
『わかりました。』
「お疲れ様でした。いい写真がたくさん撮れましたよ。編集に送っておきますね。」
「おかえり、名桜ちゃん。どうだった?硬い表所はとれた?」
「八木さん!見ますか?」
「うん。」
カメラで再生する。すると八木は微笑んだ。
「スタジオ撮影とは別物だね。どんな魔法を使ったんだい?」
「魔法なんてそんなものは使ってないですよ。そもそもみんな可愛いんです。だからそれだけで大丈夫なんですよ。」
「…なるほどね。今日は名桜ちゃんにお願いして大正解だったな。」
「ありがとうございます。でも、ゴールデンウィークの仕事はもう追加できないので…。」
「そんなにあるの?」
「休みの方がないです。」
「麻倉さんも働かせるねぇ~。」
「本当に。」
5人と八木を見送り、ようやく名桜は椅子に座った。思えば立ちっぱなしだった。じんじんと足が痛むのを感じる。カメラを手放して初めて、普通の痛覚が戻ってきた。
「お疲れ様。はい、さっきのお店のタピオカ。」
「え、あ、ありがとうございます!」
冷えたいちごミルクが喉の渇きを潤していく。タピオカレベルでは空腹は満たないが、どこかに何かを買いに行く元気はない。疲弊しきった身体に、いちごミルクと安田の優しさはとてもしみる。
「美味しいです…。」
「よかった。伊月くんの撮影まで、ゆっくり休んで。」
「はい。ありがとうございます。」
少しだけ、頬が熱い。いちごミルクが嬉しかったからだろう。そんなことを考えていると、スマートフォンが震えた。
『今日、マネージャー行かない。一人で行くんだけど、なんか必要なものある?』
(ヘロヘロの私に、なぜ訊くの…?)
『ないです。しいて言えば、私は腹ペコです。』
『なにそれ。何か買って来いってこと?いいよ。何食べたいの?』
『炭水化物』
『わかった。5時前には着くから。』
『わかりました。』