リナリア
露光時間は0.5秒ずつで光の具合を見てみることにする。カチッ、カチッと明かりがついては消えていく。
「今度は何?」
「この写真にとっていい明るさを見つけるために、光を当てる時間を少しずつ変えています。0.5秒ずつずらしているのでこの紙だと4秒分見れるかな。じゃあつけますよ、現像液。」
現像液にそっと印画紙を落とす。しばらくするとじわりと浮かび上がる像。
「出てきた!濃さが違う?」
「光を多く当てれば濃くなるし、最後の0.5しか当てていないところは白すぎますよね。」
「0.5ずつのずれってことは…1.5から2秒くらいの濃さがよくない?」
「そうですね。1.8くらいで試し焼きしましょうか。」
今度は少し大きめの印画紙を出し、1.8秒光を当てた。そしてまた現像液にひたす。
「おーすごい。また出てきた。」
「この作業の繰り返しですよ。自分の納得いく明るさまで、試行錯誤を繰り返す。だから同じ一枚は二度と作れない。」
「面白いね。フィルムもすごく久しぶりに見たよ。」
「デジタルの方がはるかに速いし、今は画素数もいいし、いらないものはすぐに消せる。でも消せない良さもあると思うんですよね。」
「…そうかも。」
またしても浮かんだ、少し切なげな表情。あの花に触れた時と同じだ。
「あ。」
「なに?」
「あの花の名前を調べるの、忘れてました。」
「あぁ、あれね。リナリアって言うんだって。」
「え?調べたんですか?」
「いや、マネージャーに見せたらそう言ってた。一応リナリアで検索かけたけど、合ってたよ。」
「…リナリアって言うんですね。」
「うん。花言葉は、この想いに気付いて。」
「今度は何?」
「この写真にとっていい明るさを見つけるために、光を当てる時間を少しずつ変えています。0.5秒ずつずらしているのでこの紙だと4秒分見れるかな。じゃあつけますよ、現像液。」
現像液にそっと印画紙を落とす。しばらくするとじわりと浮かび上がる像。
「出てきた!濃さが違う?」
「光を多く当てれば濃くなるし、最後の0.5しか当てていないところは白すぎますよね。」
「0.5ずつのずれってことは…1.5から2秒くらいの濃さがよくない?」
「そうですね。1.8くらいで試し焼きしましょうか。」
今度は少し大きめの印画紙を出し、1.8秒光を当てた。そしてまた現像液にひたす。
「おーすごい。また出てきた。」
「この作業の繰り返しですよ。自分の納得いく明るさまで、試行錯誤を繰り返す。だから同じ一枚は二度と作れない。」
「面白いね。フィルムもすごく久しぶりに見たよ。」
「デジタルの方がはるかに速いし、今は画素数もいいし、いらないものはすぐに消せる。でも消せない良さもあると思うんですよね。」
「…そうかも。」
またしても浮かんだ、少し切なげな表情。あの花に触れた時と同じだ。
「あ。」
「なに?」
「あの花の名前を調べるの、忘れてました。」
「あぁ、あれね。リナリアって言うんだって。」
「え?調べたんですか?」
「いや、マネージャーに見せたらそう言ってた。一応リナリアで検索かけたけど、合ってたよ。」
「…リナリアって言うんですね。」
「うん。花言葉は、この想いに気付いて。」