リナリア
* * *
月曜日は少し憂鬱だ。長い一週間が始まるからでもあるし、今日はなんと英単語の小テストまである。
ふと、昇降口まで向かう途中の道の花壇とは別の場所に、ゆらゆらと揺れる小さな花を見つけた。その花びらが揺れると金魚のようにも見える。色は黄色であるため、金魚にそっくりとまではいかないけれど。
名前はわからない花だ。名前を知る手掛かりにするためにもここで一枚、収めておきたい。幸い、朝のHRまでまだ時間はある。リュックから一眼レフを取り出し、軽く構える。植物は構図が難しい。
一度だけシャッターを切る。もう少し写真の中に風を収めたかったが、なかなかうまくいかなかった。今の実力じゃこんなものだと思い、カメラをしまおうとしたその瞬間だった。
「麻倉名桜。」
名前を呼ばれて振り返る。周りにいた女子だけではなく、男子まで騒ぎ始める。
「な…なんでここに…ここの制服着て…。」
「伊月知春だ!」
「え、朝から来るとか珍しくない?」
「実在したんだー!」
(…!?え、この学校の人は、この人がいるって知ってるの?え?)
頭の中の混乱が止まらない。おそらく表情には出ていないはずだが、視線が先ほどから痛いほど刺さっている。
「一昨日の写真。」
「あ、はい。」
「採用になるって。」
「え、よ、よかった!ありがとうございます。」
「あと、…もう一つ。」
「…?」
知春が距離を詰めてくる。それを周囲が見守る。一体これはどういう状況なのか、説明してほしいのは名桜の方だった。
「次の撮影もあのスタジオでお願いしたから。」
「え?」
「カメラマン、名桜でお願いしますって言った。」
「な…なんでっ…って待ってください。ここじゃ…注目が…。」
「じゃあ…。」
そう言って知春がそっと名桜の腕を掴んで引く。その光景に女子の黄色い悲鳴が朝なのに飛び交う。
月曜日は少し憂鬱だ。長い一週間が始まるからでもあるし、今日はなんと英単語の小テストまである。
ふと、昇降口まで向かう途中の道の花壇とは別の場所に、ゆらゆらと揺れる小さな花を見つけた。その花びらが揺れると金魚のようにも見える。色は黄色であるため、金魚にそっくりとまではいかないけれど。
名前はわからない花だ。名前を知る手掛かりにするためにもここで一枚、収めておきたい。幸い、朝のHRまでまだ時間はある。リュックから一眼レフを取り出し、軽く構える。植物は構図が難しい。
一度だけシャッターを切る。もう少し写真の中に風を収めたかったが、なかなかうまくいかなかった。今の実力じゃこんなものだと思い、カメラをしまおうとしたその瞬間だった。
「麻倉名桜。」
名前を呼ばれて振り返る。周りにいた女子だけではなく、男子まで騒ぎ始める。
「な…なんでここに…ここの制服着て…。」
「伊月知春だ!」
「え、朝から来るとか珍しくない?」
「実在したんだー!」
(…!?え、この学校の人は、この人がいるって知ってるの?え?)
頭の中の混乱が止まらない。おそらく表情には出ていないはずだが、視線が先ほどから痛いほど刺さっている。
「一昨日の写真。」
「あ、はい。」
「採用になるって。」
「え、よ、よかった!ありがとうございます。」
「あと、…もう一つ。」
「…?」
知春が距離を詰めてくる。それを周囲が見守る。一体これはどういう状況なのか、説明してほしいのは名桜の方だった。
「次の撮影もあのスタジオでお願いしたから。」
「え?」
「カメラマン、名桜でお願いしますって言った。」
「な…なんでっ…って待ってください。ここじゃ…注目が…。」
「じゃあ…。」
そう言って知春がそっと名桜の腕を掴んで引く。その光景に女子の黄色い悲鳴が朝なのに飛び交う。