リナリア
そっと名桜の頭の上に乗った手。手を乗せたまま、知春は口を開いた。
「名桜なら大丈夫だよ。たくさんの写真が欲しいんじゃない。幸せそうな顔をしている二人の写真が欲しいんだ。」
「…善処は、しますけど。」
「大丈夫大丈夫。そんな顔強張ってるの珍しいね。」
「…まず、堅苦しいじゃないですか、ちょっと。緊張感あるというか…。」
「そう?」
「私にとっては皆さん知らない方ですからね。知らない場所ですし。」
「じゃあ、ちょっと探検しようか。っていうか多分教会で練習するとか言ってたけど。」
「練習?」
「こっち。」
知春しか、ここでは話せる人がいない。名桜は知春の後を追った。たどり着いた先は教会だった。静かにドアを開けると、ステンドグラスを通して差し込む光が優しく降り注ぐ温かい空間に、白いウエディングドレスがよく映えた。
「ちーくん。」
「知春くん、早かったね。」
ふわりと揺れたドレスの裾。周りを明るくするような、優しい笑み。そしてその横に立つ、穏やかそうな新郎。名桜の緊張が少しだけ解けていく。
「今日はさすがに仕事入れてないよ。」
「知春くんをテレビで観ない日はないよ。」
「そんなことないです。まだまだです。」
「もしかして、名桜ちゃん?」
「は、はいっ!」
知春の後ろに隠れていた名桜を見つけると、新婦はより明るく微笑んだ。
「名桜なら大丈夫だよ。たくさんの写真が欲しいんじゃない。幸せそうな顔をしている二人の写真が欲しいんだ。」
「…善処は、しますけど。」
「大丈夫大丈夫。そんな顔強張ってるの珍しいね。」
「…まず、堅苦しいじゃないですか、ちょっと。緊張感あるというか…。」
「そう?」
「私にとっては皆さん知らない方ですからね。知らない場所ですし。」
「じゃあ、ちょっと探検しようか。っていうか多分教会で練習するとか言ってたけど。」
「練習?」
「こっち。」
知春しか、ここでは話せる人がいない。名桜は知春の後を追った。たどり着いた先は教会だった。静かにドアを開けると、ステンドグラスを通して差し込む光が優しく降り注ぐ温かい空間に、白いウエディングドレスがよく映えた。
「ちーくん。」
「知春くん、早かったね。」
ふわりと揺れたドレスの裾。周りを明るくするような、優しい笑み。そしてその横に立つ、穏やかそうな新郎。名桜の緊張が少しだけ解けていく。
「今日はさすがに仕事入れてないよ。」
「知春くんをテレビで観ない日はないよ。」
「そんなことないです。まだまだです。」
「もしかして、名桜ちゃん?」
「は、はいっ!」
知春の後ろに隠れていた名桜を見つけると、新婦はより明るく微笑んだ。