リナリア
* * *
「ごめんね、重いものは俺持つよ?」
「いえ、肉体労働は慣れてますし。それで、何か話したいことがあったんじゃないんですか?」
「わーお、直球。」
「何が知りたいんですか?」
「名桜ちゃんは知春をどう思ってるのかなぁって、ちょっと考えただけ。」
「…どう…と言いますと…?」
名桜は困惑した。知春への思いは一言では言い表せない。難しい。それに、拓実が何を意図してこの質問をしてきたのかもわからない。
「友達ってわけではないじゃん?」
「そうですね。先輩ですし。」
「うん。仕事場で一緒になることはあっても、共演するわけではないよね。ジャンルが違う。」
「共演することはないですね。」
「知春は、今の名桜ちゃんにとって、どんなヤツ?」
「…一言で言い表すのは難しいんですよ。」
「うん。一言じゃなくていいよ。」
名桜は言い淀んだ。しばらく無言になったものの、なんとか口を開く。
「…不思議な、被写体です。」
「え?」
「知春さんは、掴みどころのない、不思議な被写体…といったところです。」
「…なるほどね。」
拓実はニッと笑った。
「え、なんですか、その笑い。」
「いや、名桜ちゃんって面白いなと思って。」
「…面白いですか?凡人だと思うんですけど。」
「名桜ちゃんが凡人なわけないじゃん。あの知春と対等に仕事してんでしょ?その時点で凡人じゃないよ。超人。」
「あの知春って…知春さん、そんなに変じゃないですよね?」
「変だよ、あいつは。普段ぼーっとしてるのに、いきなりスイッチが入る。それに…。」
名桜は拓実の言葉の続きを待つ。
「誰にも踏み込ませない線は確実にある。俺たちにも、ちゃんと。だけど。」
「だけど…なんですか?」
拓実の口元が優しく緩んだ。
「…名桜ちゃんには、何かちょっと違う感じがする。これは俺の当てずっぽうだけど。」
「ごめんね、重いものは俺持つよ?」
「いえ、肉体労働は慣れてますし。それで、何か話したいことがあったんじゃないんですか?」
「わーお、直球。」
「何が知りたいんですか?」
「名桜ちゃんは知春をどう思ってるのかなぁって、ちょっと考えただけ。」
「…どう…と言いますと…?」
名桜は困惑した。知春への思いは一言では言い表せない。難しい。それに、拓実が何を意図してこの質問をしてきたのかもわからない。
「友達ってわけではないじゃん?」
「そうですね。先輩ですし。」
「うん。仕事場で一緒になることはあっても、共演するわけではないよね。ジャンルが違う。」
「共演することはないですね。」
「知春は、今の名桜ちゃんにとって、どんなヤツ?」
「…一言で言い表すのは難しいんですよ。」
「うん。一言じゃなくていいよ。」
名桜は言い淀んだ。しばらく無言になったものの、なんとか口を開く。
「…不思議な、被写体です。」
「え?」
「知春さんは、掴みどころのない、不思議な被写体…といったところです。」
「…なるほどね。」
拓実はニッと笑った。
「え、なんですか、その笑い。」
「いや、名桜ちゃんって面白いなと思って。」
「…面白いですか?凡人だと思うんですけど。」
「名桜ちゃんが凡人なわけないじゃん。あの知春と対等に仕事してんでしょ?その時点で凡人じゃないよ。超人。」
「あの知春って…知春さん、そんなに変じゃないですよね?」
「変だよ、あいつは。普段ぼーっとしてるのに、いきなりスイッチが入る。それに…。」
名桜は拓実の言葉の続きを待つ。
「誰にも踏み込ませない線は確実にある。俺たちにも、ちゃんと。だけど。」
「だけど…なんですか?」
拓実の口元が優しく緩んだ。
「…名桜ちゃんには、何かちょっと違う感じがする。これは俺の当てずっぽうだけど。」