リナリア
* * *
借りた浴衣を返さなくてはならないため(そして知春は髪も戻してもらわなくてはならないため)、帰りは名桜と知春が一緒になった。
「名桜。」
「なんですか?」
「名桜たちって、どのくらいの付き合いなの?」
「蒼と七海ですか?」
「うん。」
「もう小学生くらいからですかね。あ、でも私は途中からです。小学5年の時に今のマンションに引っ越してきたので。七海と蒼は小学校からずっとです。」
「そっか。結構長いね。」
「そうですね。7年目の付き合いになります。」
「7年か…。」
「えっと、知春さんたちも付き合い、長いんじゃないですか?」
「んー…まぁ、椋花とは中学からだから。でもそもそも俺、社交的じゃないし、親も離婚したしで引っ越してるし、親しい人ってあんまりいないんだよね。」
「芸能界で親しくしている人はいないんですか?」
「和さんはまぁ、割と現場一緒になれば喋るかな。」
「和さん…?」
和さんと言われてピンとくる人がいない。名桜が知り得る限りの芸能人を脳に思い浮かべる。
「あ、ごめん。上原和久って言わなきゃわかんないよね。」
「あー!上原さん、わかります。この前と言っても結構前ですが、撮影させていただきました。」
「見た見た。目力の強いやつ。」
「ちょっとかなり加工が強くて、思っていた以上の迫力になってしまったんですよね。」
「でも、和さんかっこよかったし、あれはあれで評判いいでしょ?」
「悪くはないんじゃないでしょうか。特にクレームもなかったですし。」
「名桜はもう少し、自分が撮ったものがどんな評判を受けているのか、ちゃんと調べたほうがいいよ。夏休みだって結構埋まったでしょ?」
「…それはまぁ、ありがたいことに指名してくださる方が増えましたね。多分、知春さんのおかげですけど。」
「俺?」
今度は知春が首を傾げた。
借りた浴衣を返さなくてはならないため(そして知春は髪も戻してもらわなくてはならないため)、帰りは名桜と知春が一緒になった。
「名桜。」
「なんですか?」
「名桜たちって、どのくらいの付き合いなの?」
「蒼と七海ですか?」
「うん。」
「もう小学生くらいからですかね。あ、でも私は途中からです。小学5年の時に今のマンションに引っ越してきたので。七海と蒼は小学校からずっとです。」
「そっか。結構長いね。」
「そうですね。7年目の付き合いになります。」
「7年か…。」
「えっと、知春さんたちも付き合い、長いんじゃないですか?」
「んー…まぁ、椋花とは中学からだから。でもそもそも俺、社交的じゃないし、親も離婚したしで引っ越してるし、親しい人ってあんまりいないんだよね。」
「芸能界で親しくしている人はいないんですか?」
「和さんはまぁ、割と現場一緒になれば喋るかな。」
「和さん…?」
和さんと言われてピンとくる人がいない。名桜が知り得る限りの芸能人を脳に思い浮かべる。
「あ、ごめん。上原和久って言わなきゃわかんないよね。」
「あー!上原さん、わかります。この前と言っても結構前ですが、撮影させていただきました。」
「見た見た。目力の強いやつ。」
「ちょっとかなり加工が強くて、思っていた以上の迫力になってしまったんですよね。」
「でも、和さんかっこよかったし、あれはあれで評判いいでしょ?」
「悪くはないんじゃないでしょうか。特にクレームもなかったですし。」
「名桜はもう少し、自分が撮ったものがどんな評判を受けているのか、ちゃんと調べたほうがいいよ。夏休みだって結構埋まったでしょ?」
「…それはまぁ、ありがたいことに指名してくださる方が増えましたね。多分、知春さんのおかげですけど。」
「俺?」
今度は知春が首を傾げた。