卒業 〜先生、さよなら〜【短編】

会場に着くと、懐かしい顔ぶれ。

そしてその中には先生もいた。



私の足は、勝手に歩みを進める。


先生は以前と全く変わっていなかった。




「先生?覚えてますか?雑用係だった…」

「覚えてるよ。久しぶり。」

先生は私のことを覚えていてくれた。



グラスを持つ先生の左手の薬指。
結婚指輪だった。



「先生、結婚されてるんですか?」

私は嘘であって欲しいと願いながら
聞いた。


「…うん。」

なぜか先生は申し訳なさそうに答える。


「そうですか…。何より先生が元気そうで
よかった!
じゃあ私、失礼しますね」


先生の返事も聞かず、私は先生から
離れた。


トイレまで我慢しようとしたけど
涙が溢れて止まらない。
< 9 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop