卒業 〜先生、さよなら〜【短編】
会場に着くと、懐かしい顔ぶれ。
そしてその中には先生もいた。
私の足は、勝手に歩みを進める。
先生は以前と全く変わっていなかった。
「先生?覚えてますか?雑用係だった…」
「覚えてるよ。久しぶり。」
先生は私のことを覚えていてくれた。
グラスを持つ先生の左手の薬指。
結婚指輪だった。
「先生、結婚されてるんですか?」
私は嘘であって欲しいと願いながら
聞いた。
「…うん。」
なぜか先生は申し訳なさそうに答える。
「そうですか…。何より先生が元気そうで
よかった!
じゃあ私、失礼しますね」
先生の返事も聞かず、私は先生から
離れた。
トイレまで我慢しようとしたけど
涙が溢れて止まらない。