空に願いを…

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「精子凍結？なにそれ」


俺はさつきに聞いた


「これから抗がん剤治療や放射線治療が始まるわ。その副作用は様々と言われているの。もしかしたら、子供を作れなくなることだってあるわ」

「…もし、あなたが完治して、桜ちゃんと一緒になれたとしても、桜ちゃんは子供を産めないかもしれない。空はいいかもしれないけど、桜ちゃんは違うのよ？」


会ったことがない桜のことを考え
さつきは、それを俺に提案してきた


思ってもみない言葉に
俺はすぐやってもらった


あの時、本当は産んでもらいたかった
けど、桜は未成年で短大生で
これから先、遊びたくても我慢
就職も先延ばしになる

そう考えたら「産んでくれ」とは
安易に言えなかった
だから、桜の意見を尊重した