アシスタント!!
ここ数年は、目立った活動はしておらず、舞台中心に頑張っていると、


たまたま見た週刊紙か何かで見た記憶がある。


ついに脱いだのかと。


「華多里花(カダ リカ)です。那住は、元気にしてますか?」


もちろんご存知よね?と


この程度の女には負けてないわ、といった顔だ。


にこやかに、妻が言い放つなんとなく勝ち誇った空気は、なんだろう、と


嫌悪感を覚える。


こんな品のない女性だっただろうか。


むしろ尊敬する那住の作品のイメージ女優に、嫌悪を覚えるはずもなかった。


「はあ、まあ…」


鍵が、掛かっていた。


「…あれ?」


仕方なく合鍵を探して開け、ドアを開けてみる。


「お邪魔しま~す」


言って割り込み、ずけずけと部屋に入る里花。


この時間は出入りが多く、中にいるときは鍵は掛けていないはずなのに。


なので宅配や客は、インターホンを鳴らす。


「…これは一体…?」


数日振りに仕事場を訪れた直見が、言葉をなくす。


カーテンも開けず、


仕事机のスタンドの明かりひとつ、ぼんやり点る仕事部屋で、


那住がひとり、どろんと、壁に向かって体育座りしていた。


よく見ると、なにげに部屋が散らかり、アシスタント2人の姿もなかった。


「…呼んどりませんが」


振り向きもせず、ぼそっと。


「ダサっ…」


呟くと、里花はそそくさと逃げるように去った。


「……木下に、スト起こされたとです。仕事にもならんし、やっとれん、と。

直見さん帰るまで自分も休みますと。茅島にも言っておくと」


「はい!?」


「自分でも気づかんうちに、癇癪を起こしてしもうたようで、

少々、やり過ぎてしもうたみたいです」


この散らかり様は、そのせいか。

半分以上、自分のせいなど思いもつかない直見。


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