アシスタント!!
「行かんでよかですか」


「どこに行くんですか」


ひとつの戦争を諦めた2人。なんとなく部屋の真ん中で佇む。


開け放した窓から湿った空気が入り込む。


閉めると、


「すいません。3日も休んで」


「携帯も、切っとったとでしょう」


「えっ?あっ?!すいません」


すっかり忘れていた。どこにも、掛ける用もなかった。


「次、落としたら、ダメですからね」

「誰のせいやと思とるんですか」


「はい?」


「もうよかです。次、始めましょうか」


直見が無事に戻ったことで、少し落ち着いた那住。


まさかひとりの女性に、ここまで自分が掻き乱されるとは思いもしなかったのだ。


木下と茅島にも連絡して、翌日から来ることになった。


「直見さん!!」


木下が直見の顔を見るなり抱きついた。よしよしと、巨体を撫でる。


「おい!」


「あっ、すいません」


「今回は落としちゃったので、ごめんなさい。あとの分は頑張りましょう」


「はい!!」
< 19 / 35 >

この作品をシェア

pagetop