アシスタント!!
「将来の夢は漫画家」


と豪語し、


余った小遣いも画材に消えた。


投稿もしていたが、厳しい現実に一度挫折した。


卒業後、

勤めた書店の常連客と気が合い、その声に惹かれ、初めて生身の人間と関わった。


見た目は整った容姿の直見は、言葉巧みに口説かれ、


世間知らずなまま付き合い、結ばれ、息子が出来た。


そのため、よくわからないままに籍だけは入れたが、


やはりオタクの習性は抜けず、いつの間にか独りになっていた。


顔もろくに見られなかった直見は、理想の声だった記憶しかない。

それなりに苦労はしたが、苦労とも感じていないせいか、見た目は若かった。


愛読していた雑誌で那住のアシスタントの募集を見つけ、迷わず食い付き応募した。


担当編集者は、那住より年上なこと、少年漫画、青年誌中心の

活動なこと、もろもろ懸念して、止めたようだが、意外にも本人に気に入られ、

使ってもらえることになった。腕前も買われたのだ。


那住自身、整った顔立ちでありながら自覚もなく、偏屈なこと、


集中すると周りが見えないこと、服にもこだわらず、


年中ジャージで髪もボサボサなことは、業界のみならず、コアなファンなら有名な話だった。
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