アシスタント!!
「先生と里花さんは、別居中よ?!サインなんて、禁句だからね?!」


「えっ?そうなんですか??直見さん詳しいですね??」


驚くが、巧が知らなさすぎなこともある。


「先生原作の実写映画化で知り合って結婚して、3年くらいで別居したみたい。

まあ、巧くんは覚えてないか。10年近くも前のことだもんね」


その頃は地方で別の仕事をしていたころだろう。テレビも見る余裕もなく、

とくに男性は芸能情報にはさして興味もないだろう。


直見の、どことなく落ち込んだ雰囲気に、


「動揺してるんですか?もしかして」


余計な空気を読むのは天才的だ。


「だから僕と来てくださいって言ってるんですよ。大物は大物同士でいいんですから」


小物で悪かったね、と睨む。


それ見たことかと、もはや慰める気もない。


「じゃあ僕、原稿頂いて帰りますんで、今夜、お食事でもどうです?憂さ晴らし、付き合いますよ」


とことん無邪気にエグってくれる。人としてどうなんだと思えてきた。


「…いらない」


この前のダサい発言も気にはなったが、気を利かせようと思った直見は、


気分が優れないと連絡を入れ、そのまま帰った。
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