アシスタント!!
「とりあえず編集部に電話!その後先生に報告!

後はいつも使ってる交通機関に問い合わせ!行ったお店にもね!!

帰った道辿るのも忘れないで!!」

てきぱきと指示を出す。


「こっちから先に先生に連絡してみるから」


「お願いします」


泣きそうな声の巧。


「しっかりしなさい!男でしょう!!」


受話器を置くと、とにかく落ち着いて深呼吸する。


前回落として、また今回落とすわけにはいかない。必死になる直見。


固定電話から那住の固定電話に掛けてみる。


携帯は形だけ持っているが、バイブになって、繋がらない方が多い。


「どげんしました?こんな時間に」


思いの外、すぐ繋がった。


急いで状況を手短に説明する。


「まあ、ようやってくれたとです。最悪の事態を考えて、もう一度描き直します。

…申し訳なかですが、手伝うてくれますか?」


「怒ってないですか?勝手に帰って」


「直見を怒っても仕方なかでしょう。怒るなら巧とやらです」


「すぐ向かいます」


「お願いします」


急いで身支度をすると自転車を走らせる。


こんなトラブルは初めてだった。

夜遅いこともあり、車も少なく道も空いて、飛ばしたせいもあり、いつもより早く付いた。


マンションに着くと、部屋まで走りドアを開ける。


鍵は開いていた。


さすがに他のアシスタントは呼んでいなかった。


学生に徹夜させるわけにもいかないし、最悪、落としたとき話すしかない。
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