アシスタント!!
ファン第一号
見つかった原稿は、後日郵送で那住の部屋に送られて来た。


彼女の判を押した離婚届とともに。


あえて聞きもしないし、気にしたこともなかったが、


那住の部屋にテレビがないのは、原稿に集中したいという理由もあったが、


なにより、画面越しにすら彼女を見る気になれなかったからのようだ。


「すごいですね!?この前の原稿、3日前に貫徹で全部描き直したんでしょう?さすがです!!」


月始めに出版された、その原稿の載った本を見て、木下が興奮する。


「足、引っ張っちゃってすみませんでした」


学校行事と体調不良が重なり、休んだ茅島も復帰し、絶賛した。


「ごめんなさいね?あなたたちの描いてくれた原稿じゃなくなって」

「いや、そんな!!今回は事故ですし、落とさなかっただけでも御の字ですよ!」


「しかもどこが直見さんの描いたところか分かりませんしね」


「それは僕の腕が落ちたと言うことですか」


「えっ?いや、そんな、とんでもないです!!」


木下も慌てる。


壊れるどころか、なんとなく最近、4人の結束が強くなった気すらしていた。


仕事に来る義務感というより、仲のよいメンバーで

同じ目標に向かう同士のようだった。


もちろん仕事は切り替え、
気も、手も抜かない。


「ちゃんと話せたみたいですね」


次の原稿を用意しながら木下が微笑む。


「ありがとう」

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