失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。


さよなら……翔。

大好き、本当に……泣きたくなるくらい。


「ふっ……翔っ…」

「林檎っ……アンタ、泣い…っ」


涙が、ポロポロと流れて、落ちていく。
そして、それに気づいた翔が息をのんだ気がした。


さよなら、翔の事、ぜったい忘れない。
あの日、ボロボロだったあたしを救ってくれた人。


「オイ!なんでアンタ泣いてんだよ!?」

「さぁ、嬉しくて…つい、泣いたのよ」


笑って見せると、「心配かけさせんな」と言って、そっと唇で涙を掬ってくれた。


明日は、もうあなたにキスは出来ない。
それどころか、笑顔で話しかけたり、触れる事も。


大好きだった……翔、あなたの事が。
さよなら、あたしの……運命の人。



キスを交わしながら、月に見られながら、どうか夜が長く続きますようにと願った。








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