失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。
「えっと!コーヒー、飲んでいかないか!?」
焦ったように店内を見て、あたしをカフェに誘ってくれる鈴木さん。
だけど、あたしはフルフルと首を横に振る。
「いいえ、すぐに帰らないといけないので……」
「えーと……翔はいないから、少しだけ頼む!」
ガバッと勢いよく頭を下げる鈴木さんに、あたしは目を見開く。
え、なんで??
むしろ、あたしは鈴木さんの弟のように可愛がっていた翔を傷つけた女よ?
結局、鈴木さんに負けて、カフェへと入る。
嶺ちゃんは……お休みみたいね。
「いつもの席でいいか?」
「はい」
優しい笑顔を向けられ、あたしは静かに腰を降ろす。
でも、鈴木さんは注文を聞かずに奥に入って行った。